2010年11月19日金曜日

フィクションです。第二章

注※この物語はフィクションであり、実在する人物、及び団体とは一切関係ありません。

 俺は、やらねばならない。

洋子の為、昌江の為、そしてこの国の全ての人の為に。

やらねばならない。


 書簡はすでに親父のもとに送った。

このご時世、誰に見られているとも聞かれているともわからない、メールや電話より、

その方が安全だと判断したからだ。


 俺はやらねばならない。

15年前、俺は国の為に命を捧げようと誓い、公務員になった。

しかし、この15年間やって来た事の多くは、国民を欺き、狂った政治家や官僚の手足として動く事、そのものだった。

そして契機がやって来た。恐ろしい何かがこの国で動き出した。


 多くの売国議員、無能議員が猛々しくも、日本にトドメを刺そうとするかの様な動きを見せ始めた。

中共に有利な法改正案、馬鹿げた予算案、大っぴらな、私欲を隠そうともしない暴走が始まった。

俺が、今、止めなければならない。


 例え俺が今日、あの男を殺した所で何が変わるという事も無いのかもしれない。

あるいは、この国を愛する人々を追い詰める事になってしまうのかもしれない。

それでも俺は賭けて、やらねばならない。

愛している。愛しているぞ、洋子、昌江。


 腰に挿した特殊警棒をそっと撫でてみる。

昨日の朝、突然届けられたもの。

組み立ててみれば、普段我々が携帯しているものと寸分違わぬもの。

しかしそれは、日本国において許されざる機能を持っていた。

そして、今日俺が、愛する家族と、愛する日本国の為に散る、という事を決意させたもの。


 試し撃ちはしなかった、というより出来なかった。

だが、これは確実に動く。弾は必ず飛ぶ。不思議な確信があった。

よし、時間だ。

……今日、俺は正しき愛の為に死のう。


 国会議事堂前。13時40分。国会、本会議中。

「…洋子」

娘の名を呼び、もう一度、特殊警棒の手触りを確かめ、国会を振り仰いだ俺の耳に届いたのは、

耳をつんざく爆音と、銃声だった。

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