村瀬龍太郎君は、両親から虐待されていた。
ベランダに追い出されていた所を、実の父親に助けだされ、車で待つ様に言われた。
実の父親は、龍太郎くんに手紙を渡し、「車の中で待ってなさい、ゆっくり読む様にね」と優しく言った。
" りょうたろう君。
もう君は小学4年生だね。
りょうたろう君。
じつは、僕は君のほんとうのお父さんです。
今のおとうさんが偽物なのは、知っていたかな?
りょうたろう君。
僕には、きみを育てる力がなかった。
だから、僕がきみにしてあげられる唯一の事は、にせもののお父さんから君をたすけることです。
お母さんはりょうたろう君の事をほんとうに大好きなんだ。
りょうたろう君も、おかあさんの事が大好きだろう?
おかあさんは、きみのにせもののお父さんのせいでああなってしまったんだ。
だから、ぼくはきみとおかあさんが二人きりでいられるようにしてあげようと思う。
おかあさんにも、きみがどれだけ辛いきもちだったか、よくわかってもらうから、
きっと、二人きりになったあとのおかあさんは、昔のおかあさんと同じでやさしいはずだよ。
もうごはんがたべられなくて、すごくおなかがすく事もない。
ベランダにとじこめられる事もない。
たたかれることも、タバコでやけどさせられる事もなくなるんだ。
りょうたろう君、あんしんしてね。
僕はこれから、にせもののお父さんをやっつけてきます。
僕はにせもののお父さんみたいにつよくは見えないかもしれないけど、一人じゃないから安心してね。
お父さんのくるまの中はすこしけむたいかもしれないね、
けむりの臭い、いやだよね。
でもがまんして、すこしまっていてね。ごめんね。
その車が、おかあさんの所までつれていってくれるからね。
りょうたろう君、僕も君が大好きだよ。
ただ、僕はもう君には会えないかもしれない。君の偽物のお父さんと一緒に遠くへ行くからね。
だから、さようなら。でも、また会えたらいいね。 "
4人の遺体は、それから5日後に発見された。
村瀬龍太郎君は、細工された車の中で冷たくなっていた。
村瀬真司は、舌を切られ、口に詰め物をされた上での窒息死だった。絶命するまでに、全身をくまなくタバコの火で焼かれていた様だ。
村瀬景子は、厳重に拘束され、全身に重度の打撲や骨折を負った上で風呂場に放置されていた。発見の前々日まで息があったという鑑識結果が出た。
井上龍司は、割腹からの断頭自殺であった。
介錯の主は、ついぞ見つからなかった。